AIの進歩によって顔認証の精度も向上し、AI搭載を謳うカメラ機材を利用して顔認証を活用した様々なサービスに活用されつつあります。ここでは顔認証カメラを活用した事例と共に、機材入れ替えではなく既存の防犯カメラ設備を活かして顔認識を利用する方法について解説します。
AIカメラの認識レベル
一口に「AIカメラ」「AI搭載監視カメラ」といっても、実際にはその機能は大きく幅があるのをご存知でしょうか。機能の高さをレベルに分けると、以下のようになります。
Lv.1 … 動体検知
カメラに映る範囲で動きがあれば、検知して録画を開始したり、通知を行うレベルです。 単純な動体検知は以前からあり、AIを搭載したものでは「人のみ」「車のみ」など、映像に映る被写体を絞って検知/通知することができます。
Lv.2 … 自動追尾
動体検知によって対象とする被写体を、自動で追跡するのが、自動追尾機能です。
これまでは監視員が可動式のカメラを手動で操作して対象となる撮影範囲を変えることで、不審者などを追尾していましたが、AI搭載により、これらを自動で行うものです。
Lv.3 … 顔認識
個人の顔をあらかじめ映像や写真などで特定させることで、カメラに映った人物を特定し、その結果によって様々な自動操作を行うものです。スマホではお馴染みの機能ですが、AIを活用したカメラでは入退室管理など複数人の顔を判定するものや、リアルタイムで動いている人物の顔を認識するなど、より高度な処理に対応しています。
Lv.4 … 行動検知
動体検知の延長で、人や物といった被写体のおおまかな特定だけでなく、その対象者が「何を行なっているか」まで判定するのが、行動検知です。例えば工場におけるヒヤリ・ハットなど危険な行動や、小売店における万引き犯など、危険や不審な行動を自動で検知し、通知することができます。
Lv.5 … 統合型
Lv.1〜4の機能を一通り備え、連携して活用でき、データベースとして後日日付や場所を横断して検索することも可能にしたレベルです。例えばAさんの直近1週間の入退室時間、行動、社内での移動経路、危険行動など全て一覧で表示し、管理することが可能となります。
当然、多機能になるほど一般的には機材の費用や導入のための初期費用が高額となる傾向があります。そのため自社の求める水準や目的に応じて、導入するAIカメラのレベルを設定することが重要になります。
顔認証の利用が増えている
特に注目されているのが、顔認証を活用したAI・カメラの活用です。
実際に導入されているケースを業種毎に事例をご紹介いたします。
会社・工場の入退室管理に
あらかじめ従業員の顔を登録することで、鍵やICカードなどなしで会社や工場の入り口の鍵の開閉が可能に。合わせて人物毎の入退室の記録も行えるのため勤怠管理も映像付きで可能になります。エリアや支店・倉庫毎に解錠できる権限を付与することで、担当者以外は解錠できないといったセキュリティの強化と効率化を行うことができます。
病院の入退室管理に
医療従事者や入院患者さん・ご家族の方の顔写真を登録することで、無登録者=部外者や不審者の訪問や侵入をすばやく検知し、現場担当者へ通知したりアラームを発報することができます。またマスクの有無検知や発熱者も検知するオプション機能を利用することで、衛生面でのリスクがある訪問者をすぐに検知・誘導することも可能です。
介護施設・保育施設
従業員が訪問者が来る度にインターホンごしに確認・解錠・受付を行なっていた業務が、監視カメラ+自動開閉で不要になります。親族の方など訪問者を事前に顔写真を登録することで、訪問者が誰のご家族か従業員に通知されるため、スムーズな対応が可能となりました。
また入居者の施設外への把握していない外出についても、特定のエリアへの侵入を検知し、入口付近のスタッフへ通知することでスマートに対応が行えるようになります。
店舗における万引き防止に
悪質な万引き犯やクレーマーなどを事前に登録しておくことで、来店時に速やかにスタッフへ通知し、スタッフが張り付くなど対策を講ずることができます。実際に一部の書店では複数店舗で情報を共有し、被害を半減させることに成功した事例もあります。
上顧客(VIP)への対応
ホテルや店舗などで上顧客の顔写真を登録することで、来館・来店を現場の従業員にスムーズに通知。顧客に合わせた細やかなサービスや配慮を行うことで高いおもてなしの満足度につなげます。
無人店舗の運営に
24時間営業の無人フィットネス店の入退室管理に導入するケースも。事前の入会手続きの際に顔写真を登録することで、店舗入口のカメラに顔を向けることで店舗ドアの開閉を操作。また追跡機能を併用し、利用したフィットネスマシンの履歴や万が一の破損などのトラブルも容易に追跡できるようになります。
顔認証を活用したAIカメラ導入のメリット
このように活用のシーンが日々増えているカメラを利用した顔認証システム。
最大のメリットは監視員など防犯カメラに張り付いて監視するスタッフが不要となることでしょう。また人間では見落としてしまうケースや、複数の日付や場所を跨いだ人物を正確に把握・記録し、データベース化するといった作業は、人間には不可能だと言えます。
そのため対象となる人物/訪問者をより厳格にチェック・管理できるということが挙げられます。
顔認証を活用したAIカメラ導入のデメリット
一方で顔認証を利用したカメラのデメリットとしては、専用の機材を購入する必要があることです。また多くは現場のカメラを最新のAI搭載モデルに入れ替える必要があり、既存のカメラ管理システム(VMS)との連携の有無なども考慮する必要があり、場合によっては全監視システムの入れ替えともなれば、多大な費用がかかることになるでしょう。
顔認証や監視カメラに関する法律は?
一般的には2023年時点では防犯カメラや監視カメラは設置されていること自体がその目的を表していることから、映像の利用目的に関して通知したり対象者に許可をとる必要はないとされています。
しかし顔認証の仕組みを使ってデータベースを構築し、顔写真や顔認証を行い個人を特定することができる場合、その映像やデータは「個人情報」にあたり、個人情報の保護に関する法律(いわゆる個人情報保護法)」が適用されると考える専門家の声もあります。
既存の監視カメラシステムに組み込める顔認証システム
多くが専用のAI搭載カメラとの入れ替えによって実現させている顔認証を行う監視カメラシステムですが、既存のカメラ機材やVMSをそのまま活用した顔認証システムがあります。 それが今回ご紹介する「Face Me」です。
Face Meとは?
「Face Me」は、台湾に本社を置くサイバーリンク社が開発した顔認証システムです。 サイバーリンク社は日本国内でも法人があり、PC向けのDVD再生ソフト「PowerDVD」や動画編集ソフト「PowerDirecter」などの販売も手掛けていますので、ご存じの方もいらっしゃるかもしれません。
Face Meのコンセプトとして、他のシステムなどと連携することを前提に開発されたことが挙げられます。そのため既存の防犯カメラ・監視カメラの機材や、カメラ管理ソフトと連携して動作するという点で、他の専用機材を必要とするAI搭載カメラシステムより導入のハードルが低くなっています。
一方で"後付け"と聞くと、専用のAI搭載カメラ等と比較して性能が劣るのでは?と考える方も多いかもしれません。しかしFace Meは世界最高水準の認証精度があるのです。
世界最高水準のAI顔認証技術
Face Meの顔認証精度は実に99.83%!
(顔認証ベンチーマークテスト NIST FVRT 1:1テストにおいて)
その認証精度の高さから、台湾の警察庁にあたる内政部警政署に導入されています。 パトロール中の警察官のスマートフォンやアクティブカムで捉えた映像をリアルタイムで解析、データベースと連携させることで対象者の身元確認などをスムーズに行うことで、不審者の特定や行方不明者の捜索などに役立てています。
また2020年にはFIDO Alliance UAF認証レベル1を取得しており、これは銀行や証券・電子決済などでの本人確認に有効とされる水準です。
このように厳格な本人確認が必要とされる警察機関や金融機関に導入されていることは、その精度は間違いないといえる証拠といえます。
またこのように高い認証精度をさらに高めるために常にアップデートが行われていることも特筆すべきでしょう。2023年6月には大幅なアップデートを発表。マスクやゴーグルを着用している場合でも高い精度で認証できるようになっています。
Face Meの特徴
Face Meの特徴として、以下の点が挙げられます。
導入のハードルが低い(後付けで対応できる)
数台程度の勤怠管理から100台単位まで対応
他のシステムとの連携が可能(様々なプログラミング言語に対応)
世界最高水準の顔認証精度(99.83%/1:1)
複数拠点を跨ぐ移動履歴も管理が可能
様々なデバイスに対応(Windows,Mac,iOS,Android)
年齢、性別、感情なども判定
なりすまし防止
マスク、ゴーグル対応
Face Meの顔認証の活用事例
このような高い顔認証精度と、柔軟性の高いシステム要件から、Face Meを活用して様々な業種・業態での利用が期待できます。
オフィスのスマート化
商業施設のセキュリティ強化
工場施設のセキュリティ強化
例1)入退室管理
顔認証機能を利用して、勤怠管理を行えます。なりすまし防止機能も併用し、厳格な入退室管理と勤怠管理をデータベース連動で行うことが可能となります。またドアの開閉制御と連動させることで、セキュリティの向上も同時に実現することができます。
例えば、1拠点における設置例(スタンドアローン)の場合、
入退エリア→拠点設置PC→訪問者検知/通知・ゲート開閉・アラート発報
といった一連の動作をシステム化することができます。
また複数拠点にまたがる設置の場合では、
本社/支社/工場→サーバ→各拠点のドア開閉
といったように、サーバを介することで離れた拠点の顔認証も一つのデータベースで統合して行うことができます。
例2)すぐれた検索機能
Face Meの人物追跡機能を利用することで、外見上の特徴から対象人物の行動遷移を記録映像から検索・追跡することが可能となります。
そしてFace Meでは録画された記録から顔検索が可能となっています。
顔写真から、記録上の同一人物を検索・対象の動画を再生することができ、特定の人物の1日の行動を複数のカメラで検索・追跡することができます。
訪問者一覧表示はもちろん、タイムラインやフロアプランビューなど様々な方法・視点で追跡ができます。
FaceMEの導入はトレネッツ.へ
このように高い精度の顔認証を持つFace Meは既存のIPカメラと連携が可能となっていますので、これまでAI搭載機材への総入れ替えなどで多額な費用が原因で導入を見送っていた企業様でも導入のハードルが一気に下がります。
Face Meを有効活用するためにも、細かい設定や導入のために必要なPC機材・ネットワーク構築など、ぜひトレネッツにおまかせください。
トレネッツでは名古屋市の公共施設を中心に、サーマルカメラの導入実績が多数ございます。
【導入実績】(敬称略・順不同)<令和3年11月10日現在>
名古屋城・ミライプロジェクト新瑞橋・中小企業振興会館(吹上ホール)・名古屋市工業研究所・名古屋国際センター・名古屋国際会議場・名古屋市国際展示場・名古屋市公会堂・名古屋市民会館・音楽プラザ・名古屋市芸術創造センター・名古屋市青少年文化センター・中村文化小劇場・南文化小劇場・西文化小劇場・港文化小劇場・天白文化小劇場・名東文化小劇場・守山文化小劇場・北文化小劇場・緑文化小劇場・東文化小劇場・熱田文化小劇場・中川文化小劇場・千種文化小劇場・瑞穂文化小劇場・昭和文化小劇場・名古屋市民ギャラリー栄・名古屋市民ギャラリー矢田・名古屋市演劇練習館・名古屋市短歌会館・名古屋市東山荘・名古屋能楽堂・その他(歯科クリニック・イベント企画会社・工場・店舗・・・など)
◎弊社が導入したサーマルカメラが新聞で報道されました。
中日新聞6月12日号東濃版
コロナ禍においてはサーマルカメラを他社に先駆けて取扱開始し、地域の感染拡大抑止に貢献しました。
AIカメラでも愛知県をリードする企業として、積極的に展開していきます。
トレネッツ.へのお問合せ
「AIカメラの件で」「FaceMeの導入で」等、まずはお気軽にお問合せください。
お電話もお待ちしております
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