AirTagを車に設置しておけば、車が盗まれた際でも追跡できる…ところが直近のアップデートで犯人に設置位置までバレバレになり、無効化されてしまったことをご存知ですか?
近年新たな手法により一瞬で盗まれてしまう自動車の盗難事件。万全のセキュリティを施していても一瞬の油断・隙に乗じて盗まれてしまうことも。そんな万が一の際でも追跡し、車を取り戻すために、車載可能なGPSについてまとめていきます。
自動車盗難件数は減少傾向
令和3年(2021年)の自動車盗認知件数は年間5,182件となり、ピークだった平成15年の64,223件と比較すると1割以下にまで減少しています。
一方でネット上には毎日のように「盗まれた」という悲痛な叫びが投稿されています。
また2023年10月にはタレントのダレノガレ明美さんの愛車・アルファードが盗難に遭う被害に。幸運にも12月に入り見つかりましたが、車の盗難は他人事ではない状況です。
では実際にはどのようのな車が盗まれているのでしょうか。
令和5年の車種別内訳は以下の通りです。
| 令和5年 | 平成15年 |
---|---|---|
1 | アルファード(トヨタ) | アリスト(トヨタ) |
2 | ランドクルーザー(トヨタ) | ランドクルーザー(トヨタ) |
3 | プリウス(トヨタ) | セルシオ(トヨタ) |
4 | LX(レクサス) | シーマ(日産) |
5 | ハイエース(トヨタ) | インテグラ(ホンダ) |
6 | キャリイ(スズキ) | スカイライン(日産) |
7 | ハイゼット(ダイハツ) | キャンター(三菱ふそう) |
8 | RX(レクサス) | セドリック・グロリア(日産) |
9 | クラウン(トヨタ) | エルフ(いすゞ) |
10 | LS(レクサス)/スカイライン(日産) | クラウン(トヨタ) |
平成とランキングを比較すると、昔は路上に停められた商用車も狙われていたのに対し、近年は自宅駐車場に停められた高級車・高級ミニバンが多く狙われている傾向があります。
令和5年に入って、全国で多発する農作物の窃盗被害事件の増加や海外での軽トラ人気と合わせて、軽トラも上位にランクインしてきました。
プリウスやアルファード・軽トラは、強盗や果実窃盗などの下見で「目立たない」ことから犯罪実行の際に重宝されているとも言われています。
盗まれた車を追跡できるGPS機器
近年、車にGPS機器等を設置し、盗難にあった車の位置情報を把握し、車を取り戻す動きがSNSで見られるようになってきました。
人工衛星と連動して位置を特定するGPS。スマホやカーナビで利用されているGPSが、近年大幅に小型化しています。これを車に設置し、万が一車が盗まれた際には取り付けたGPSから発信される位置情報をスマホなどで確認、追跡するというものです。
GPS等で追跡・発見したケース
実際にGPS等の機器を取り付けていて、盗まれた車を特定したケースを見ていきましょう。
群馬県在住のブッダさん(HN)のケースでは、2022年8月に中古で購入したばかりのレクサスが駐車場で盗まれるという被害に遭いました。
しかし、車内に置いておいた「AirTag」のおかげで場所を特定できたことで、わずか2時間で取り戻すことができたそうです。レクサスの純正GPSは位置情報がうまく更新されず、当日は役に立たなかったそう。
こちらもレクサス。盗まれた車に盗難防止用のGPSが取り付けられていたことで無事、場所を特定でき取り戻すことができたそうです。
自動車窃盗犯は一旦別の場所に車を止める
窃盗犯は盗んだ車を一旦、別の場所に保管するパターンが多く、このタイミングで車を抑えることができれば取り戻せる確率はぐっと高まると考えられます。
自動車盗の犯人も車にGPSが付いているかどうかリスクを防ぐため、一時的にコインパーキングなどに止めて、警察などの追跡がないか確認しているようです。
もしコインパーキングに見慣れない車が数日停められていたら、警察などに連絡するのも良いかもしれません。管轄の警察署によっては報奨金がもらえるケースもあります。
アルファードを盗まれたダレノガレ明美さんも、「見つかる車はGPSを付けている」とツイートしているように、GPSは非常に有効な対策方法だと言えます。
車載可能なGPS等
では先ほどの事例なども含め、実際に車が盗まれた際に利用できるGPS機器を3つ、取り上げていきます。
Apple Air Tag(エアタグ)
iPhoneの電波(Bluetooth)を使って場所を特定させる技術を使うことで、小型かつ1年以上の電池持ちを実現したトラッカー(位置情報特定装置)。
iPhoneなどから「探す」アプリで場所を確認できる他、音を鳴らしたり、近くであればiPhoneの画面に方向や距離が表示されるなど、非常に使い勝手の良いアイテムです。
メリット)
4,980円と他のGPSを使った製品よりも安価
iPhoneがあれば非常に簡単な設定ですぐに利用できること
デメリット)
iPhone以外のスマホでは使えない
AirTagが盗難車の追跡に使えなくなった!?
非常に高性能かつiPhoneユーザーには利用しやすいアイテムですが、難点もあります。
あまりの高性能なためストーカーが利用するケースが続出。
実際にAirTagを利用して車を盗もうとする犯人側が使用するケースも現れました。
このケースでは窃盗犯が狙いを定めたと思われる車に、勝手にAirTagを車のバンパーに貼り付けてありました。
これは所有者の行動パターンから盗むタイミングを見極めたり、車が盗みやすい場所に移動したことをAirTagを使って追跡しているのではないかと推測されます。
こうした悪用事例を受け、Appleは「AirTagのストーカー・悪用対策」として、以下の3つの仕様変更を行っています。
1.一定時間経過で音が鳴る
AirTagが持ち主から離れ、一定期間が経過するとAirTagから音が鳴るようになっています。そのため車を盗んだ犯人が音に気づけば、車にAirTagが設置されていることに気づき、取り外そうとするでしょう。
2.iPhone・Androidに通知が出る
自分以外に紐づけられたAirTagと一緒に一定時間移動し続けると、iPhone・Androidに通知されるようになっています。
↑こうした表示が犯人側にも出ることで、車にAitTagが取り付けられていることがバレてしまい、取り外されてしまうきっかけになります。
これまで自動で通知されるのはiPhoneのみでした。Androidスマホでも今後はiPhone同様に自動で検出されるようになります。
Googleは2023年7月23 日に新機能として、Bluetooth紛失防止タグによる位置情報の不適切な追跡を防ぐ機能の導入を発表しました。(参照記事)
こちらはAndroid 6.0以降を搭載したデバイスで順次利用可能となるそうです。
3.場所も特定できる
2022年12月にはさらに自分以外のAirTagの場所を詳細に確認することができるようにアップデートされました。
そのためAirTagを自動車に取り付けた場合にも窃盗犯にAirTagの存在や場所を容易に知られてしまうことに。
これまでは犯人側には通知が出たとしても場所までは分からなかったので一定の予防効果があったと言えますが、今回のアップデートで取り付け場所を把握され、取り外されたり別の車に付けられたりして追跡を回避してしまうことになったのです。
一方でアメリカのニューヨーク市警が急増する車の窃盗対策の一環として市民にAirtagの無料配布を行っています。
背景には前年比13%増という深刻な盗難増加があります。
世界的なシェアではAndroidスマートフォンのシェアが69%と高く、Airtagがまだ有効ということでしょうか。なおAirtag配布で実際の効果は不明とのことです。
Anker版AirTagはどう?
AppleのAirTagと同じ仕組みを使った製品で、Ankerから「Enfy Security SmartTrack」シリーズも発売されています。
これはAir Tag同様にiPhoneの「探す」アプリで場所を調べることができるにも関わらず、2,990円とApple純正品であるAir Tagに比べて非常に安くなっています。
価格を抑えたい人はこちらを検討しているかと思います。
しかし残念なことにAnkerのスマートタグでもAirTagと同様に自分以外に紐づけられたものが身近に一定期間一緒に移動していると、iPhone側に通知が出たり、詳細な場所を追跡できたりするなどAirTagと同じストーカー対策仕様となっています。
CloudGPS plan-MH1
本格的な車載用GPSとしては、CloudGPSがあります。
充電式で1回の充電で約15日間利用可能。
防水・防塵設計で磁石も内蔵しており、車体の裏側などに貼り付けて使用することが可能です。また取り外された場合でもセンサーが検知し、通知を行う機能も備わっています。
大きさはAirtagよりもかなり大きいです。iPhone14と比べてもこんな感じで、厚みもかなりあります。
SIMカードが刺さっており、4G通信を行って場所を知らせてくれるようです。 充電はmicroUSB端子。
試しに車の裏側に磁石で取り付けてみたところ、こんな感じで軌跡を表示してくれました。
かなり正確に表示できていると思います。
専用アプリではなくブラウザ(SafariやChrome等)から確認できるので、お気に入りやブックマークに追加しておく形になるでしょう。
メリット)
1分間隔の発信で正確な場所を把握できる
振動があると通知/履歴が出るので異常に早く気づくことができる
上位モデルを購入すればより高い精度・バッテリーの持ちなど多彩な機能が利用できる
デメリット)
端末代が16,980円とAirTagと比べると高い
月額1,480円の費用がかかる
AirTagと比較すると電池の持ちが悪い(設定変更で1ヶ月程度も可)
Amazonの車載用GPSのベストセラー製品でもあり、カスタマーレビューも星4.4と非常に高いものとなっています。
KDDI あんしんウォッチャー GPS UHA01A
KDDI/auのあんしんウォッチャーは主に子供の見守り用GPSですが、小型かつ高性能なため、自動車盗難時の追跡用GPSとしても利用できます。
また位置情報はGPSだけでなく携帯電話の基地局、街中の無線LAN(Wi-Fi)の3つの電波から位置を把握するのでより正確な場所が分かります。
スポットを登録することによって近づいたり離れたりした際に通知を行うこともできます。
auから販売されていますが単体で通信回線を契約することになるので、スマホがau以外でも利用できます。
左からAirtag、Ankerのeufy、あんしんウォッチャー。こうして比べると大きいですが、Cloud GPSと比べればかなり小さいです。
登録や設定は「au HOME」というアプリを使います。(公式サイト)
このアプリは他のauのサービスとも連携していますので、ネットワークカメラなどと組み合わせても良いかもしれません。
電池の持ちもかなり良く、公式では1.2ヶ月と記載していますが、実際に車に設置して使ってみたところ、1/6に使用開始→3/8に電池切れとなり、2ヶ月持ちました。
2ヶ月に1回の充電であれば実用的ではないでしょうか。
メリット)
月額539円と利用費用が安い
2台目は追加月額費用がかからない
電池も約1.2ヶ月もつ(検証では2ヶ月)
デメリット)
3分ごとの更新でやや間隔が長い
移動しても場所が自動で更新されない(再読込み)
端末は11,000円とやや高い(但し12ヶ月間は利用無料)
au公式サイトでも子供だけでなく高齢者や旅行バッグ、自転車などでの利用も提案しており、車で利用することも問題なさそうです。
見守り用GPSはau以外からも多くの製品が発売されていますが、端末を買い足せば2台目も無料になるのは非常にメリットですので、おすすめとさせていただきました。
1台は子供に、2台目は車に、なんて使い方も可能です。
また、CloudGPSのように磁石をつかって車の外に取り付けたい、という方は、みまもりウォッチャーに対応した磁石ケースがamazonで販売されているので、こちらを購入すると良いでしょう。
| AirTag | CloudGPS | みまもりウォッチャー |
対応機種 | iPhone「探す」 | WEBアプリ | au Homeアプリ |
販売価格 | 4,980円 | 16,980円〜 | 11,000円〜 |
月額利用料 | 0円 | 月額1,480円 (30日間無料) | 月額532円 (12ヶ月無料) |
位置特定方法 | Bluetooth + GPS | GPS | GPS,基地局,Wi-Fi |
電池の持ち | 約1年 | 15日 | 1~2ヶ月 |
こんな人に向いてる | 手軽で簡単/とりあえず付けたい人 | 万全を期して車の外から脱着したい人 | コストを抑えて精度もある程度欲しい人 |
車載おすすめ度 | ★★★ | ★★★★ | ★★★★★ |
知名度の高く入手もしやすい「AirTag」、車載専用機のベストセラー「CloudGPS」、子供向け見守りGPS「みまもりウォッチャー」の3機種を比較してみました。
以前はAirTag一強ともいえる状況でしたが、ストーカー対策によるアップデートにより窃盗犯がiPhoneを持っている場合に装着されていることだけでなくその場所まで特定できるようになってしまいましたので、使い勝手が落ちてしまいました。
CloudGPSは面倒なアプリをインストールする必要もなく、非常に使い勝手は良いです。
一方で豊富な機能が有料となり、最低でも月1,480円、最高月3,980円と、"万が一の保険"としてはやや高額な利用費用が課題になります。
そのため現時点での車載GPS端末のおすすめはauの「みまもりウォッチャー」となるのではないでしょうか。移動が少なければ電池も2ヶ月近く持ち、2台目まで月額532円と非常に安価です。先述のとおり自動車盗犯は一時的に別の場所に車を移動して保管する可能性が高く、3分間隔の検知は致命的ではないと思います。
みなさんのご予算や用途に応じて、3機種から選んで頂ければと思います。
GPSで場所を特定したら警察へ
GPSで盗まれた車の場所を特定しても、決して1人で現地へは行かないようにしましょう。
窃盗犯は複数のグループで組織的に活動している可能性が高く、タイミングによっては犯人のグループに囲まれてしまうリスクがあります。
盗難の被害届を出していれば所轄の警察署・交番へ連絡をとり、盗難直後であれば110番に電話をかけます。
その際には盗まれた車がGPSで追跡できている旨を伝え、連携を図って対応にあたるようにしてください。
検挙率は49%、自動車窃盗の半数は捕まらない
このようにGPSを使って簡単に盗まれた車の場所を追えるようにはなりました。
「盗まれたら取り返す」という点ではリスクヘッジになるGPSですが、一方で警察庁の資料によると、自動車盗難事件の検挙率は49.3%で、平成時代よりも検挙率は高まっているとはいえ、依然半数以上が捕まっていない状況です。
そして犯人が捕まった=盗まれた車が戻ってくる訳ではありません。
既に部品取りされていたり、バラバラに解体されてしまっていることも多いです。
結局、自動車の窃盗対策は駐車場所での警戒が最も重要です。自宅での保管の際は駐車場のセキュリティを強固なものとし、犯人に狙われないようにする努力が必要なのです。
盗まれる場所は自宅駐車場がトップに
自動車盗がピークだった平成15年には駐車場での被害が全体の63%を占めるなど、「外に出ている時に狙われる」ケースが多かったのに対して、近年は自宅から盗まれる割合が36.8%と最も高くなっています。
盗まれた場所 | 令和3年 | 平成15年 |
一般住宅 | 36.8% | 8.6% |
駐車場 | 27.9% | 63.0% |
道路上 | 3.4% | 14.2% |
その他 | 31.7% | 14.0% |
自動車の盗難を防ぐためには、自宅車庫・ガレージのセキュリティ強化が重要になってくるのです。
GPSと併用したいガレージのセキュリティ対策
GPSやAirTagはもちろん装着していただきたいですが、そもそも盗まれない・犯行中に気づけるセキュリティ対策があれば、より安心です。
トレネッツ.では防犯セキュリティのエキスパートとして、「盗ませない防犯」を掲げ、ご自宅のガレージセキュリティをご提案しております。
防犯カメラが自宅ガレージにあっても、犯人は何ら臆することなく車を盗んで行きます!
それは先述の通り検挙率が低い上、捕まるまでに相当の日数がかかるので、カメラに映ることは気にしていないからです。
犯人が恐るのは、「車を盗む前に気づかれること」です。
実際に防犯カメラの映像をみても、道路側から隠れるように車のセキュリティーを解除し、仲間も周囲に気づかれていないか常に警戒している様子が写っています。
大切な愛車を盗まれないためにも、防犯カメラやGPSにだけ頼るのではなく、「車庫・ガレージのセキュリティ強化」をぜひ検討ください!
自宅車庫のセキュリティ対策については、
の記事で詳しく紹介しています。ぜひご一読ください。
ガレージセキュリティのご相談はトレネッツ.へ
大切な愛車を守るガレージ・駐車場のセキュリティ対策で困ったら、ぜひお気軽にトレネッツ.までお問い合わせください。
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